2020年の著作権法改正により、学校でのデジタル教材利用が大きく変わりました。
改正著作権法35条とSARTRASの仕組みを理解することで、法的リスクを避けながら効果的なICT授業が実現できます。
この記事を読むことで、著作権法35条の改正内容とSARTRASの役割がわかり、学校現場での適切な著作物利用に役立ちます。
著作権法35条改正の背景と意義
2020年1月の著作権法改正は、デジタル時代の教育現場に対応するための重要な法改正でした。
従来の著作権法35条は、紙教材を想定した規定でしたが、タブレットやオンライン授業の急速な普及に対応できていませんでした。
改正により、授業目的公衆送信補償金制度が創設され、教育機関が著作物をデジタル化して生徒に配信する際の法的枠組みが整備されました。
この改正の最大の特徴は、著作権者の許諾を得なくても、補償金を支払うことで著作物の利用が可能になった点です。
これにより、学校現場での教育活動の自由度が大幅に拡大されました。
従来は許諾取得に膨大な時間がかかっていた著作物も、今は補償金制度を通じて迅速に利用できるようになったのです。
SARTRASの役割と補償金制度の仕組み
SARTRAS(授業目的公衆送信補償金制度管理団体)は、文化庁の認可を受けた唯一の管理団体で、教育機関から補償金を徴収し、著作権者に分配する役割を担っています。
教育機関がSARTRASに登録し、年間の利用額に応じた補償金を支払うことで、教科書や参考書、映像作品など様々な著作物をデジタル化して授業で使用できるようになります。
補償金の算定は学校の児童生徒数と利用する著作物の規模に基づいて決定されます。
小規模な学校であれば年間数万円程度の負担で済む場合が多く、著作権者の許諾を個別に取得するコストと比べると、大幅に効率化されています。
SARTRASを通じた補償金支払いは、著作権者の利益を守りながら、教育の質を向上させるための仕組みなのです。

改正35条で可能になった具体的な利用形態
改正著作権法35条により、学校現場では以下のような著作物利用が可能になりました。
第一に、教科書の一部をスキャンしてLMS(学習管理システム)に掲載し、遠隔授業で生徒に提供することができます。
第二に、新聞記事や雑誌の記事を授業資料として電子化・配信することが可能になり、時事的な学習教材の活用が飛躍的に拡大しました。
第三に、映画やドキュメンタリーの一部を授業動画に埋め込んで配信できるようになり、視覚的で魅力的な授業設計が実現しやすくなりました。
ただし、利用は「授業目的」に限定されるという点が重要です。
学校のホームページで一般公開したり、営利目的で利用することは認められていません。
あくまで教育活動の一環としての利用が前提となっています。
学校現場での実装と注意点
改正35条を学校現場で実装する際には、いくつかの重要な注意点があります。
まず、SARTRAS登録は学校全体で一度行えば、その後の著作物利用は登録範囲内で自由になります。
しかし個別の著作権者への許諾は不要でも、著作物の出典を明記する義務は残るという点を忘れてはいけません。
生徒に配信する資料には必ず著作者名と出典を記載してください。
また、補償金制度の対象外となる著作物も存在します。
例えば、教科書会社が販売する著作物や、すでに許諾契約がある場合は対象外です。
さらに、学校の規模や利用状況に応じて補償金額が変動するため、毎年度SARTRASに報告する必要があります。
これらの手続きを適切に行うことで、初めて安心してICT教育を推進できるのです。
💼 現場還元
学級経営や授業で、改正35条とSARTRASについて語る際のポイントです。
生徒や保護者に説明する場合は、『著作権を守りながら、より良い教育を実現するための仕組み』という視点を強調してください。
また、教職員研修では、『許諾不要=何でもOK』という誤解を防ぐことが重要です。
補償金制度の対象範囲や出典明記の義務、個別許諾が必要な場合について、具体例を交えて丁寧に説明することで、学校全体での適切な著作物利用が定着します。
🎯 実戦クイズ
Q1. 授業目的公衆送信補償金制度の管理団体は?
正解: SARTRAS(授業目的公衆送信補償金制度管理団体)
解説: SARTRASは文化庁の認可を受けた唯一の管理団体で、教育機関からの補償金徴収と著作権者への分配を担当します。
Q2. 改正35条で可能になった、教科書のスキャン資料の配信方法は?
正解: LMS(学習管理システム)への掲載・配信
解説: 改正35条により、教科書をスキャンしてLMSに掲載し、遠隔授業で生徒に提供することが可能になりました。
Q3. 改正35条利用時、著作物に必ず記載すべき情報は?
正解: 著作者名と出典
解説: 補償金制度の対象でも、著作者名と出典の明記義務は残ります。これは著作権者の名誉と権利を守るための必須要件です。
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