道徳性はどのように発達するのか。
アメリカの心理学者ローレンス・コールバーグが提唱した道徳性発達理論は、教員採用試験の頻出単元です。
この記事を読むことで、3つのレベルと6つの段階の構造が理解でき、道徳授業の設計や児童の発達段階の把握に役立ちます。
コールバーグ理論とは何か
ローレンス・コールバーグは、1960年代にハインツ・ジレンマという道徳的葛藤を題材に、子どもから大人まで幅広い年代の道徳判断を研究しました。
彼が導き出したのが道徳性発達理論です。
この理論は、道徳性が単なる暗記や教え込みではなく、認知的な発達段階を経て段階的に成熟していくという考え方を示しています。
従来の道徳教育が「正しいことを教える」という一方向的アプローチだったのに対し、コールバーグは「子どもがどのように道徳的判断を深めるか」という発達プロセスに着目しました。
これにより、発達段階に応じた道徳授業の設計が可能になったのです。
3つのレベルの構造を理解する
コールバーグの道徳性発達理論は3つのレベルに分かれています。
第1レベルは前慣習的レベルで、幼児期から児童期初期の段階です。
ここでは、罰や報酬といった外的な結果に基づいて道徳判断が行われます。
第2レベルは慣習的レベルで、児童期中期から青年期にかけてです。
ここでは、法や社会規範、他者の期待を重視した道徳判断が特徴です。
第3レベルは脱慣習的レベルで、青年期以降の段階。
ここでは、普遍的な倫理原則に基づいた自律的な道徳判断が行われます。
各レベルは、子どもの認知発達と密接に関連しており、段階を飛ばすことはできません。

第1レベル:前慣習的レベルの2段階
第1レベルは2つの段階で構成されています。
第1段階は「懲罰と服従の志向」で、幼児が罰を避けるために親の指示に従う段階です。
第2段階は「道具的相対主義の志向」で、自分の利益や欲求を満たすために行動する段階。
例えば、「友達を助ければ、今度は友達が自分を助けてくれる」という交換関係に基づいた判断がこれに当たります。
この段階では、道徳的判断が外部からの報酬や罰に依存しているため、教員は児童に対して明確で一貫した結果を示すことが重要です。
第2レベル:慣習的レベルの2段階
第2レベルは社会的規範と期待を中心とした段階です。
第3段階は「対人的な調和と一致の志向」で、周囲の期待に応じて行動し、「良い子」になろうとします。
第4段階は「法と秩序の志向」で、法律や社会的ルール、権威を重視した道徳判断が特徴です。
この段階の児童は、「ルールは守るべき」「法律に従うべき」という考え方を持ちます。
学校の校則や社会的規範を内在化する段階であり、多くの児童がこのレベルに留まります。
教員は、なぜそのルールが存在するのかを丁寧に説明することで、より深い理解を促進できます。
第3レベル:脱慣習的レベルの2段階
第3レベルは普遍的な倫理原則に基づいた段階です。
第5段階は「社会契約の志向」で、法律や社会規範も相対的なものと捉え、より大きな善のために変更可能と考える段階です。
第6段階は「普遍的倫理原則の志向」で、個人の良心に基づいた最高レベルの道徳判断です。
この段階に達した人は、不正な法律に対して非暴力的に抵抗するなど、自律的かつ原則的な行動を取ります。
ただし、コールバーグ自身も第6段階に到達する人は極めて稀だと述べており、教育現場では第2レベルの深化を目指すことが現実的です。
💼 現場還元
教室では、コールバーグの段階を意識した道徳授業を設計してください。
低学年では懲罰と報酬を明確に示し、中学年では社会規範の意義を説く、高学年ではジレンマ討論を通じて複数の価値観を検討させるアプローチが効果的です。
児童の発達段階を見極め、『なぜそうするのか』という思考を段階的に深めることが、真の道徳性発達につながります。
また、教員採用試験では『慣習的レベルの第4段階』や『脱慣習的レベルの特徴』が頻出なので、各段階の具体例を複数準備しておくと対策になります。
🎯 実戦クイズ
Q1. コールバーグ理論で法や社会ルール重視する段階を含むレベルは?
正解: 慣習的レベル
解説: 第3段階『対人的調和』と第4段階『法と秩序』から成る第2レベル。社会規範・法律・権威を重視します。
Q2. 懲罰と報酬で判断する段階は第何段階?
正解: 第1段階
解説: 『懲罰と服従の志向』。幼児が罰を避けるため親に従う前慣習的レベルの最初の段階です。
Q3. 個人の良心と普遍的倫理原則で判断する最高段階は?
正解: 第6段階
解説: 『普遍的倫理原則の志向』。脱慣習的レベルの最高段階。コールバーグも到達者は極めて稀と述べています。
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