道徳教育の根拠となるコールバーグの道徳性発達理論は、教員採用試験に頻出です。
しかし同時に、ギリガンらによる批判も重要な出題ポイント。
この記事を読むことで、理論の全体像と限界が理解でき、試験問題への対応力が高まります。
コールバーグとは誰か
ローレンス・コールバーグは、アメリカの発達心理学者で、1920年代に道徳性の発達段階に関する理論を提唱しました。
彼は、子どもが成長する過程で道徳的判断能力がどのように発達するかを体系的に研究しました。
コールバーグは、有名な「ハインツのジレンマ」という道徳的葛藤の事例を用いて、被験者の回答パターンから6つの道徳発達段階を抽出しました。
この理論は、現代の道徳教育の基礎となり、教員養成課程でも必ず学ぶ重要な理論です。
3つの水準と6つの段階の構造
コールバーグの理論は、前慣習的水準(レベルI)、慣習的水準(レベルII)、脱慣習的水準(レベルIII)の3つの水準に分かれています。
各水準は2つの段階から構成されます。
第1段階は「罰と服従の志向」、第2段階は「相対的快楽主義」で、これらが前慣習的水準です。
第3段階「対人関係の調和」と第4段階「法と秩序の志向」が慣習的水準です。
最も高い脱慣習的水準は、第5段階「社会契約の志向」と第6段階「普遍的倫理原則の志向」で構成されます。
この3水準構造の理解が試験の核となります。

前慣習的水準と慣習的水準の特徴
前慣習的水準では、子どもは外部からの罰や報酬を基準に道徳判断をします。
罰を避けることや、自分の利益を最大化することが動機です。
慣習的水準に進むと、他者の期待や社会規範に適応することが重要になります。
この段階では、「良い子でありたい」という欲求や、「法律を守ること」が道徳的判断の中心になります。
多くの成人はこの慣習的水準に留まるとコールバーグは指摘しており、これは現代社会の道徳成熟度に関する重要な示唆を含んでいます。
脱慣習的水準:最高の道徳発達段階
脱慣習的水準に到達した個人は、既存の社会規範を超えて、普遍的な倫理原則に基づいて判断します。
第5段階では、社会契約として法律を理解し、必要に応じてその変更を主張できます。
第6段階「普遍的倫理原則」では、人間の尊厳や正義といった最高の価値観に従って行動します。
コールバーグは、この段階に達する人は極めて稀であると述べています。
この水準の理解は、教員採用試験で「脱慣習的水準とは何か」という直接的な問題として頻出です。
ギリガンによる批判と限界
コールバーグの理論に対して、キャロル・ギリガンは重大な批判を提唱しました。
ギリガンは、コールバーグの研究が男性を中心に行われたため、女性特有の道徳発達パターンが見落とされていると指摘しました。
女性は「ケアと責任」を重視するケアの倫理を発達させるのに対し、男性は「正義と権利」を重視する傾向があります。
また、コールバーグの理論は西洋の個人主義的価値観に基づいており、文化的多様性を考慮していないという批判もあります。
これらの批判は、教員採用試験の記述問題で「コールバーグ理論の問題点を述べよ」という形で頻出です。
💼 現場還元
授業で生徒に説明する際は、まず「ハインツのジレンマ」の具体例を提示し、異なる理由での回答が異なる道徳発達段階を示すことを実感させることが効果的です。
「罰を避けるから」と答える子どもと「社会全体の最大幸福のために」と答える大人の違いを比較させることで、段階性が腑に落ちます。
同時に、ギリガンの批判も紹介することで、単一の道徳発達モデルの限界を認識させ、複数の倫理的視点の存在を理解させることが重要です。
これにより、生徒の道徳的思考の柔軟性が育成されます。
🎯 実戦クイズ
Q1. コールバーグの3水準で最も高い段階は
正解: 脱慣習的水準
解説: 前慣習的・慣習的を超え、普遍的倫理原則に基づく最高の道徳発達段階。教採試験の頻出問題です。
Q2. コールバーグ理論を『ケアと責任』の視点から批判した人物は
正解: キャロル・ギリガン
解説: 女性特有の道徳発達パターンと個人主義的偏見を指摘。現代教育心理学の重要な批判理論です。
Q3. コールバーグが用いた有名な道徳的葛藤事例の名称は
正解: ハインツのジレンマ
解説: 貧困で薬が買えない男性が盗むべきかという倫理的問題。道徳発達段階を測定するための古典的事例です。
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