子どもが「さっき言ったことを忘れた」「計算の途中で数字を忘れた」という経験はありませんか?
それはワーキングメモリの容量不足が原因です。
この記事を読むことで、ワーキングメモリの仕組みが理解でき、教室ですぐに実践できるトレーニング法が身につきます。
ワーキングメモリとは
ワーキングメモリ(作動記憶)とは、情報を一時的に保持し、処理する脳の機能です。
例えば、電話番号を聞いてメモするまでの間、その番号を覚えておくのはワーキングメモリの働きです。
教室では、複数の指示を同時に理解したり、計算の途中で前の数字を保持したりする際に活躍します。
容量は限られており、個人差があります。
バッデリーが提唱したモデルでは、3つの構成要素で構成されており、各要素を理解することが効果的なトレーニングにつながります。
バッデリーモデルの3要素
バッデリーが提唱したワーキングメモリモデルは、音韻ループ、視空間スケッチパッド、中央実行系の3つで構成されています。
音韻ループは言葉や音を保持し、暗唱や音読に関わります。
視空間スケッチパッドは図形や位置情報を保持し、図解問題や空間認識に関わります。
中央実行系は全体を統括し、複数の情報を同時に処理します。
教室では、これら3要素がバランスよく機能することで、学習効果が高まります。
個々の要素に弱さがあれば、その要素に特化したトレーニングが有効です。

音韻ループを鍛えるトレーニング
音韻ループを強化するには、音声情報の保持と処理を繰り返すことが効果的です。
教室での実践例として、「逆唱練習」があります。
教員が「3、7、2」と数字を読み上げ、児童に「2、7、3」と逆順で言わせる活動です。
段階的に数字の個数を増やすことで、難易度を調整できます。
また、「しりとり」や「音韻判断課題」(「りんご」と「ライオン」の最初の音は同じか判断させる)も有効です。
毎日5〜10分程度の継続が重要で、個別指導の際に組み込むと効果的です。
視空間スケッチパッドを鍛えるトレーニング
視空間スケッチパッドは、図形や位置情報を心的に操作する能力です。
図形の回転課題が最も効果的です。
例えば、「このブロックを90度回転させたら、どの形になるか」という問題を繰り返し解かせます。
また、「迷路課題」や「将棋盤の駒の位置を記憶させる」活動も有効です。
タブレットを活用した図形パズルアプリも、児童の興味を引きながらトレーニングできます。
週3回程度、1回10分程度の継続で、数学の図形問題や理科の空間認識が向上する傾向が報告されています。
中央実行系を鍛える複合トレーニング
中央実行系は、複数の情報を同時に処理・統合する司令塔です。
デュアルタスク(二重課題)トレーニングが効果的です。
例えば、「足し算をしながら、読み上げられた単語を記憶する」といった活動です。
難易度は児童のレベルに合わせて調整し、成功率が70〜80%程度になるように設定します。
また、「複数の指示を同時に与える」(「黒板に3つの単語を書いて、その中で最も長い単語を言いなさい」)も効果的です。
注意散漫な児童や学習困難のある児童に特に有効で、継続することで学習全体のパフォーマンスが向上します。
💼 現場還元
教室でワーキングメモリトレーニングを導入する際は、まず児童の得意・不得意を把握することが重要です。
音韻ループが弱い子には音声中心の練習を、視空間スケッチパッドが弱い子には図形中心の練習を提供しましょう。
朝の学活で5分程度の短時間トレーニングを習慣化することで、全体的な学習効果が高まります。
また、保護者にも「自宅での簡単なトレーニング方法」を伝えることで、家庭との連携が実現し、より効果的な改善につながります。
🎯 実戦クイズ
Q1. バッデリーモデルで言葉や音を保持する要素は?
正解: 音韻ループ
解説: バッデリーが提唱したワーキングメモリモデルの3要素のうち、言葉や音声情報を一時的に保持する機能を担当する要素です。
Q2. 図形や位置情報を保持する要素の名称は?
正解: 視空間スケッチパッド
解説: ワーキングメモリモデルの3要素のうち、視覚的・空間的情報(図形、位置、方向など)を保持・操作する機能を担当します。
Q3. 複数情報を統合・処理する司令塔的役割を担う要素は?
正解: 中央実行系
解説: ワーキングメモリモデルの3要素のうち、音韻ループと視空間スケッチパッドを統括し、複数の情報を同時に処理・制御する最高司令部です。
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